古代インドの国民的大叙事詩のなかで最も美しいロマンスといわれる『ナラ王物語』を絢爛豪華な舞台絵巻に昇華させた宮城聰の代表作『マハーバーラタ』を豊島区バージョンとして新たに創作・上演。俳優たちの動きと重厚な語り、さらに生演奏が三位一体となった天上の祝祭を、会場に出現した圧巻の360度の大パノラマ舞台にて繰り広げます。
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《あらすじ》
その美しさで神々をも虜にするダマヤンティ姫が夫に選んだのは、人間の子・ナラ王だった。その結婚を妬んだ悪魔カリの呪いによって、ナラ王は弟との賭博に負け国を手放すことになる。落ちのびていく夫に連れ添おうとしたダマヤンティ。だが疲れて眠っている間に、彼女の衣の切れ端を持ってナラは去る。夫を捜して森をさまようダマヤンティを様々な困難が襲う。行く先々で危機を乗り越えた彼女はやがて父親の治める国へ。一方ナラも数奇な運命を経てその国にたどり着く。果たして夫婦は再会し、国を取り戻すことが出来るのか…。
《ディレクターからのメッセージ》
文化とか芸術というものは、閉じられたフラスコのような環境で成長するものではなくて、「異なるもの同士がハチ合わせして、その驚きと化学反応のなかで洗練されてゆくものだ」と僕は考えています。
なので僕の演出する作品はつねに「異なる文化と文化の出会い」を隠し味にしているのですが、特に『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険〜』はもう思いっきりそれをオモテに出して、「平安時代の日本にインドの叙事詩『マハーバーラタ』が入ってきたらどういう化学反応が起こったか?」を観客の皆さんとともに体験してみよう、という芝居です。
しかも今回の上演は、その芝居がさらに「”今の今”の池袋と出会ったらどんなふうに見えてくるのか?!」を皆さんに目撃してもらうスペシャル版です。
古代インド×平安日本×いまの池袋!
きっとこの芝居が鏡になって、池袋という町の今日の姿がくっきりと浮かび上がってくるにちがいないと、僕はその日を心から楽しみにしています。
宮城 聰

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