江戸から続く祝祭的ビート×現代演劇×池袋。
市民が都市を打ち鳴らす、一期一会のツアーパフォーマンス
江戸時代から続く地域行事「鬼子母神 御会式」。数千人が太鼓を叩いて練り歩き、激しいビートにまち全体が震える夜。国境を越えて生きる人々と多様なビートが混ざり合う、もうひとつの行進が現れる。池袋の都市空間を舞台に、劇作家・石神夏希が中国出身のアーティスト・シャオクゥ × ツゥハン、音楽プロデューサー・清宮陵一らと立ち上げる新作パフォーマンス。
隣人の 太鼓の音は うつくしきかな
《あらすじ》
「鬼子母神 御会式(きしもじん おえしき)」。池袋駅の南東へ歩いて10分、どこか懐かしい風景と人づきあいが残るまち・雑司が谷の伝統行事だ。かたや駅の北西側には、中華系コミュニティをはじめ、多様な国籍・文化を持つ人々が暮らす。令和元年十月、雑司が谷の人々が激しく太鼓を打ち鳴らして歩く御会式の晩、駅の反対側でもうひとつのOeshikiが立ち上がる。さまざまなビートが入り交じる行列は、やがて地元の御会式と合流し、インド伝来の女神を祀る鬼子母神堂へと辿り着く。
《ツアーパフォーマンスの流れ》
参加者は受付で地図や手がかりを受け取ります。街中であなたを待っているのはトランスナショナルな(国境を越えて生きる)市民パフォーマーたち。
彼らと出会えたら、太鼓でセッション! そしてパフォーマーと参加者は協力して次の演奏会場を目指します。
多様な文化やルーツに触れ、アーティストの作曲したオリジナル太鼓曲を共に打ち鳴らしながら、大きな集団になっていきます。
100本の太鼓で池袋の街中を練り歩いた後、御会式の地元講社に合流します。最後に鬼子母神堂をお参りし、約3時間半のツアーを終えます。
《ディレクターからのメッセージ》
近くて遠い隣人
石神夏希
雑司が谷の御会式は、太鼓を叩きながら夜半まで街中を練り歩く。その音を耳にした人まで仏縁が結ばれる、という意味があるそうだ。
数年前、日本で暮らす外国人に対する日本社会の「寛容度」の調査に携わった。「日本人が外国人に守ってほしいこと」の第一位は「集団で大騒ぎしない」、第三位が「夜遅くに大きな音を出さない」、特に寛容度が低いのは「自分が地域社会の一員として認められている実感」の低い日本の人たちだった。
隣人の打つ太鼓が「音楽」であれ「騒音」であれ、私たちは因縁で結ばれている。御会式のいう「同悲」の心が、絡まった糸を少しだけほどいてくれないものだろうか、と思う。
初めて出会った言語も文化も異なる人同士は、一緒にOeshikiを歩くことができるのか? 不寛容な公共空間を生き延び、無事、雑司が谷まで辿り着けるのか。私はわたしの孤独を打ち鳴らし、徒歩20分の距離を3時間かけて歩いてみたい。

《御会式とは》
御会式(おえしき)はもともと、日蓮聖人を供養するために行われる仏教の行事。雑司が谷では10月16日〜18日の3日間、「万灯(まんどう)」と呼ばれる枝垂れ桜をかたどった大きな灯籠と纏(まとい)を掲げ、数千もの人々が団扇太鼓を打ち鳴らしながら練り歩く。その幻想的な風景は、秋の風物詩として江戸時代から人々に親しまれてきた。
雑司が谷の御会式は、この土地で出土したといわれる鬼子母神を祀るお堂を中心に営まれ、「鬼子母神 御会式(きしもじんおえしき)」と呼ばれる。日蓮宗に限らず、あらゆる信仰を持つ人を受け入れるおおらかさも特徴である。
またお寺(威光山法明寺)に加え、地域住民による21講社が参加する組織「御会式連合会」によってほぼ一年をかけて準備され、人々の暮らしに深く根ざした地域行事となっている。平成27年にはこの地域特有の「風俗習慣」として無形民俗文化財にも指定された。
《「BEAT」を目撃してみませんか?》
池袋の街中で上演される『BEAT』のライブパフォーマンスを、公園や沿道から目撃してみませんか?一緒に音楽を楽しみ、パフォーマーたちを応援してくれると嬉しいです。
10月16・17・18日の3日間、19時頃~20時頃まで、中池袋公園やグリーン大通りで展開予定です。
時間と場所は、変更される可能性があります。
詳細は本サイトならびに公演特設サイトおよび東アジア文化都市2019豊島Twitter(@culturecityTSM)でご確認ください。





Photo © Ryuichiro Suzuki 鈴木竜一朗
※雑司が谷鬼子母神では「鬼」の字を一画目の角がない字を用いています。