2019年11月10日

大田楽 いけぶくろ絵巻 レポート



11月10日(日)に、祭事・芸能部門スペシャル事業『大田楽 いけぶくろ絵巻』が行われました。
その様子をレポートします。


記事掲載:2020年1月17日

大田楽は、平安時代から室町時代にかけて日本中で大流行し、忽然と消えた芸能“田楽”をもとに、狂言師八世野村万蔵が舞踊家、音楽家、俳優、学者らと協働作業で創り上げた総合芸術です。2016年より始まった「いけぶくろ絵巻」では九世野村万蔵が生まれ変わりつつある池袋を舞台に新たに演出し、新たなお祭りとして親しまれています。今年は、新劇場オープンを寿ぐ(ことほぐ)スペシャルバージョンです。

公演前には、プレパフォーマンスが行われました。楽師を先頭に、装束を身に着けた田楽法師たちが池袋の街を練り歩き、辿り着いたのは公演会場の東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)。劇場入口の大階段では階段を埋め尽くす大勢の人々が到着を待ちわびていました。
演奏が始まると客席から自然と手拍子が起こり、躍りも盛り上がります。パフォーマンス終了後、法師たちは大きな拍手の中、誇らしい表情で退場していき、観客は劇場内に進みました。


プレパフォーマンス(行進) 撮影:前澤秀登

プレパフォーマンス 撮影:前澤秀登

いよいよ開演の時間です。何やら遠くから笛の音が聞こえてきます。すると、舞台上のスクリーンに楽師と田楽法師たちがロビーから劇場へと進む様子が映し出されました。そのままエスカレーターに乗り、後ろ扉から客席通路を通って舞台上へ。間近で見る法師たちの姿に、会場は驚きの笑顔と拍手に包まれました。

大田楽はさまざまな躍りから成り立っています。躍動感に満ちた喜びの躍り「番楽(ばんがく)」には、大田楽を継承し日々研鑽を積む全国各地の「わざおぎ」の皆さん、「東京ACT.JT」会員の皆さんのほか、区民参加の31名も田楽法師として登場しました。小学生から大人まで、幅広い世代の方が全11回の稽古に参加。激しい動きの番楽は、1回通すだけでも息が切れるほどですが、力いっぱい躍る参加者の皆さんはいつも真剣そのもの。本番では色鮮やかな衣裳に身を包み、威勢の良い掛け声とともに引き締まった表情で躍る姿が印象的でした。


稽古の様子

舞台上では、兎のような特殊な足踏みによって地霊を鎮める「兎楽(うがく)」、場を浄める力強い「王舞(おうのまい)」、田楽法師一行の長である田主(たあるじ)による神への「奏上(そうじょう)」、可愛らしい稚児たちが五色の紙の華弁をまく「散華(さんげ)」と、華やかなパフォーマンスが続きます。また今回は、王舞の背景に月と炎が映し出されたり、田主の周りに花が咲き誇ったりと、クリエイティブカンパニー NAKED(ネイキッド)による美しい空間演出が行われました。

(左)王舞/(右)奏上 撮影:あかさかくみ

そして公演はクライマックスへ。腰鼓(くれつづみ)、編木(ささら)、銅拍子(どうびょうし)などの楽器を囃しながら躍る「総田楽(そうでんがく)」では、初めて見る楽器と華やかな装束、力強くアクロバティックな舞に魅了されました。


総田楽 撮影:あかさかくみ

「コスプレランウェイ/コスプレパフォーマンス」では、さまざまなコスプレイヤーが舞台に登場。楽師の奏でる太鼓や笛の音に合わせて、ダンスパフォーマンスが披露されました。大田楽とコスプレ文化のコラボレーションは池袋ならでは。客席からは大きな拍手が送られました。
また、今回は東アジア文化都市2019豊島にちなんで、世界の獅子(中国獅子、韓国獅子、インドネシア・バリ島の獅子)が登場しました。ジャンプを繰り返すダイナミックな獅子、ゆったりした動きの神聖な獅子など、それぞれの動きはとても特徴的なものでした。最後は日本の田楽獅子も登場し、5頭一緒に音楽に合わせて舞を披露。貴重な共演となりました。


コスプレパフォーマンス 撮影:あかさかくみ

世界の獅子 撮影:あかさかくみ

最後の「番楽総踊り」では120名を超える田楽法師たちが一斉に舞台に登場しました。法師たちが客席通路に降りると、コスプレイヤーの皆さんも参加して盛り上げます。「乱舞(らっぷ)」で会場全体が熱気に包まれ一体となったところで、「大田楽 いけぶくろ絵巻」は幕を閉じました。


番楽総踊り 撮影:あかさかくみ

乱舞 撮影:あかさかくみ

終了後には、「にぎやかでとてもきれい」「全員の躍りに圧倒された」という声が聞かれました。伝統のパフォーマンスと現代の要素がミックスされた大田楽、そして多彩なコスプレイヤー、世界の獅子の共演など、豊島区ならではの祝祭をたっぷりと楽しむことができたのではないでしょうか。