2019年12月2日

民俗芸能inとしま



11月4日(月・祝)に、祭事・芸能部門スペシャル事業『民俗芸能inとしま』が行われました。
その様子をレポートします。


メイン写真:雑司ヶ谷鬼子母神御会式万灯練供養
※雑司が谷鬼子母神では「鬼」の字を一画目の角がない字を用いています。

会場は11月1日に開館したばかりの「東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)」。来場者は、新しい劇場の様子をじっくり観察しながら入ってきます。

今回の「民俗芸能inとしま」は、東アジア文化都市2019豊島にちなんで、韓国の伝統楽器と舞踊も登場。日本の団体とあわせて5団体が参加しました。
公演の最初に行われたのは、東京音楽大学准教授の福田裕美さんによるレクチャーとデモンストレーション。東アジア地域に伝わってきた民俗音楽のリズムを体感しました。民俗音楽の多くは、楽譜ではなく言葉でリズムや旋律を教えて練習を行い、伝承されていきます。今回は日本の例として、「テケテンスク、テテスク、テンスクス」という冨士元囃子の締太鼓の地言葉(じことば)、また韓国の例として、「ドン、ドン、タ、グ、タ」というフィモリチャンダンの口音(クゥム-伝統楽器のリズムを、声で真似たもの)の2つについて、声や手拍子で体験しました。日本と韓国の独特なリズムの違いを感じましたが、特に韓国の口音は拍子をとりながらそのスピードについていくのが難しく、客席の皆さんも苦戦している様子が見受けられました。


レクチャー&デモンストレーション

そしていよいよ、民俗芸能の登場です。豊島区からは区の指定無形民俗文化財である、冨士元囃子と長崎獅子舞、雑司ヶ谷鬼子母神御会式万灯練供養が披露されました。冨士元囃子はお囃子とともに附随芸の「寿獅子」を上演。笛や太鼓の音にあわせて耳を動かしたり、背中を揺らしたりする獅子舞が、口にくわえた垂れ幕をおろすと、「祝・芸術文化劇場 こけら落とし」の文字が。客席からは大きな拍手が起こりました。長崎獅子舞は、華やかな衣裳と道具を身に着けた3頭の獅子が躍動する舞を披露。雑司ヶ谷鬼子母神御会式万灯練供養は、舞台上に80名を超える出演者が登場しました。鉦や団扇太鼓のリズムに合わせて50kg近くある万灯と9つのマトイが振られ、賑やかな万灯行列の様子が再現されました。

冨士元囃子

長崎獅子舞

「民俗芸能inとしま」の第1回から連続して参加しているのは埼玉県秩父市の「秩父屋台囃子」です。

としま太鼓道場のワークショップメンバーによる力強い演奏の後、髙野右吉親方率いる秩父社中の皆さんが登場。体に響く太鼓の音と鮮やかなバチさばきに圧倒されました。また、ユネスコの無形文化遺産に指定されている秩父夜祭では、一晩中途切れることなく交替しながら演奏し続けるというお話を聞き、その体力と精神力に驚かされました。


秩父屋台囃子

デモンストレーションでも登場した東京韓国学校舞踊部は、韓国の伝統楽器と舞踊を披露。扇を使用した舞や打楽器を演奏しながらの舞はしなやかで美しく、高校生の皆さんの演技に思わずうっとりとしてしまいました。


東京韓国学校舞踊部


東京韓国学校舞踊部

フィナーレでは、舞台上に出演者が全員登場。高野之夫豊島区長が指揮者を務め、出演者と観客が一緒になって「ふるさと」を大合唱しました。公演は650名を超える来場者があり、あたたかな雰囲気に包まれながら幕を閉じました。

平成元年に始まり、令和元年の今年、31回目を迎えた「民俗芸能inとしま」。さまざまな地域の民俗芸能が一堂に会する贅沢な時間となりました。

撮影:姫田蘭