2019年10月18日

「Oeshiki Project ツアーパフォーマンス《BEAT》」宮城 聰 舞台芸術部門総合ディレクター コメント



10月16日(水)~18日(金)に開催された東アジア文化都市2019豊島 舞台芸術部門スペシャル事業「Oeshiki Project ツアーパフォーマンス《BEAT》」。
江戸から続く祝祭的ビート×現代演劇×池袋。市民が都市を打ち鳴らす、一期一会のツアーパフォーマンスに自ら参加し、体感した宮城 聰 舞台芸術部門総合ディレクターにコメントをいただきました。


記事掲載:2019年12月9日

© Ryuichiro Suzuki

 こんにちのように少数の人に富が集中してしまう時代、つまり過半数の人々が自信を失っている時代には、どうしても「人間を2種類に分ける」考え方が幅を利かせてしまいます。2種類、例えば「仲間か/よそ者か」「正しいか/正しくないか」「神の側か/悪魔の側か」に分けて、自分はその前者に属していることを確認して安心したくなる。わたしたちはその誘惑にさらされています。

© Ryuichiro Suzuki

© Ryuichiro Suzuki

 しかし御会式には、この「人間を2種類に分ける」考え方を乗り越える知恵が詰まっています。団扇太鼓をたたいて共に歩く、この営みに、もともと同質だった人間たちが固まるのではなく、異質な者どうしが共に生きることを可能にする素晴らしい知恵が詰まっているのですね。

© Ryuichiro Suzuki

 『BEAT』は、御会式のこの本質を、とてもわかりやすく、誰にでもさわれる形で提示してくれました。いままで御会式に縁のなかった多くの皆さんが、ああ御会式ってこういうものなんだと体感してくださったと思います。
 そして『BEAT』が創作されてゆく過程で、これまでの御会式を支えていらした地元の方々が、いま改めて御会式を民衆に「開いて」くださった、そのことに深く感謝したいと思います。

 素晴らしい知恵というものは、「開いてゆく」力を内蔵している。
 今回のOeshiki Projectはそれを実感させてくれたのでした。

宮城 聰