2019年9月24日

Oeshiki Project Session #4 「他者の記憶と生きてみる」レポート



7月7日(日)に《Oeshiki Project》ドラマトゥルク・安東嵩史と、ディレクター・石神夏希によるまち歩きワークショップOeshiki Project Session #4 「他者の記憶と生きてみる」が開催されました。

今回のSessionでは安東さん、石神さんと共に、御会式ゆかりのルートを中心に雑司が谷のまちを巡ります。その後、参加者のみなさんには自由にまちを散策してもらい、自分自身の記憶とつながる風景を集めてきてもらいます。

まずは鬼子母神堂から。夏市の真っ只中で、みずみずしい朝顔が並び、とても賑わっていました。雑司が谷の伝説に根ざした郷土玩具「すすきみみずく」を紹介しつつ、町内を進んでいきます。都電の線路に面する大鳥神社は、もともと鬼子母神堂境内に祀られていた鷺大明神が、明治維新の神仏分離令で分離独立させられた、という歴史を紹介。

下町風情あふれる弦巻通りの商店街を散策。夏目漱石など著名人の墓で知られる雑司が谷霊園を巡った後は「清土鬼子母神」へ。ここは、法明寺の鬼子母神堂に祀られている鬼子母神像が出土したといわれる伝説の場所です。御会式でも、10月17日の出発地点になっています。

ツアーは一旦ここで解散。ここからは参加者のみなさん各々でまちを歩いて、自分の記憶とつながる風景を探しに出かけてもらいます。

約1時間半後。皆さんが雑司が谷のまち中で集めてきた風景写真を、スライドで眺めながら、地図上にマッピングしていきます。

住宅街の中で目を惹く、懐かしいフォルムのアメリカ車。玄関先を埋め尽くすほどに飾られた植木たち。鬼子母神参道の銀杏並木で「ふくろう発見」を報告する謎の張り紙。蔦が絡まる建物、屋根や塀の上からこちらを見つめている猫たち。

普段は見過ごしてしまいそうだけれどなんだか妙に気になる風景と、「なぜ自分が気になったのか」という理由を話し合います。たとえば蔦が絡まった建物が気になった参加者は、「自分の町にある、同じく蔦の絡まった理髪店を思い出したから」と話してくれました。

参加者それぞれの風景を地図上に配置したところで、今度は安東さんが、事前に雑司が谷に住む方々にインタビューした「記憶」を紹介してくれました。

たとえば子ども時代のやんちゃな思い出を語ってくれた、御会式連合会の男性。昔は雑司が谷にたくさんあった駄菓子屋で子どもたちが縄張り争いをしたり、雑司ヶ谷霊園でいたずらをしたり。大人になった今でも当時の仲間たちは親友で、一緒に御会式に関わっているそうです。

一方で、日本に留学生としてやってきて、結婚して子供ができてから雑司が谷で暮らすようになった外国籍の方もいました。あるいは、外国籍を持ちながら雑司が谷のそばで生まれ育った若者が語った、小学生時代の夏休みの思い出。

同じまちに住むさまざまな人たちの、異なる記憶が地図上にマッピングされていきます。

こうして、地域で長年暮らしてきたみなさんの記憶と、今日雑司が谷を歩いたみなさんの記憶が重なり合う地図が出来上がりました。

まちには、そこに住む人もいれば、通う人も、通り過ぎる人もいます。さまざまな人たちの思いが共存しながら、各々が親しみや愛着を感じられる空間であるためには、自分以外の人の暮らしに思いを馳せる想像力が必要です。「ひとりひとりが持つ異なる記憶を分かち合うこと」は、その手がかりになるのかもしれません。

豊島区で暮らす多様な人々が「共に歩く」ことを問うOeshiki Project。そして10月16・17・18日に上演されるツアーパフォーマンス《BEAT》にも、そんな視点が活かされていきそうです。

※雑司が谷鬼子母神では「鬼」の字を一画目の角がない字を用いています。

|関連イベント|
Oeshiki Project Session #4
ワークショップ「他者の記憶と生きてみる」
〈日程〉7月7日(日) 13:00-18:00
〈集合〉雑司が谷地域文化創造館 美術室
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