2019年8月29日

第32回 としま能の会 楊貴妃(ようきひ)



7月15日(月・祝)に「第32回 としま能の会 楊貴妃」が東京芸術劇場プレイハウスにて行われました。


能「楊貴妃」 シテ:観世喜正/写真:新宮夕海

能や狂言というと敷居が高いのでは、見ていても難しくてわからないのではというイメージを抱きがちですが、「としま能の会」では事前の講座やセミナー、上演前に開催される各作品の解説があり能楽初心者の方でも楽しむことができます。

公演当日に行われた狂言&能セミナーに参加した方々の半分以上が能・狂言を鑑賞するのが初めて。講師の野村万蔵さんは能と狂言の違いを、テレビ番組に例えて教えてくださるなどユーモアを交えながら分かりやすく解説してくださいます。能狂言の成り立ちや近代に入ってからの歴史などをご教示頂いたあとは、足袋に履き替えいざ実際に公演が行われる特設能舞台へ!すり足や立ち方、台詞のしゃべり方を教わります。最後に狂言の特徴でもある大きな笑いを参加者全員で客席に向かって実践しました。

今回の公演では宝生流仕舞「天鼓(てんこ)」、和泉流狂言「二人袴(ふたりばかま)」、観世流能「楊貴妃(ようきひ)」が上演されました。

仕舞とは面・装束を着けずに、能の一部分を謡に合わせて舞う上演形式の一つ。中国が舞台の作品「天鼓」より結末の場面が披露されました。

和泉流 狂言「二人袴」は今年2月にフランスで開催された「ジャポニスム2018」でも上演された作品。豊島区名誉区民である野村萬さん、野村万蔵家現当主で息子の野村万蔵さん、孫の野村万之丞さん、野村拳之介さんの親子3世代で上演されました。
おっちょこちょいな親子の結婚の挨拶にまつわる喜劇に客席からは大きな笑い声が溢れました。

今年は東アジア文化都市2019豊島開催年ということもあり、中国を題材とした能「楊貴妃」が上演されました。能「楊貴妃」は中国の名詩人 白楽天が玄宗皇帝と楊貴妃の悲しみを主題とした「長恨歌」を能の世界に取り込んだ作品。玄宗皇帝に愛されながらもその美しさから戦乱の世に亡くなった美女 楊貴妃が常世(黄泉の国)で玄宗と生前交わした言葉を、玄宗より派遣された方士(道教の呪術師)に託し、玄宗の前でかつて舞った曲を舞う姿は美しくも悲しく、観る者の涙を誘いました。

檜書店「能サポ」

今回タブレット型端末で、舞台進行に沿った詞章(セリフ)や見どころ・舞台解説を日本語、中国語、英語、韓国語で見ることができる解説ガイド席が設けられました。
海外からのお客様からは勿論のこと、今まで劇中で何が起こっているのか分からない、そのうちにうとうとと船を漕いでしまう人でもストーリーを追うことができ能楽を楽しむことができます。
9月に行われる伝統芸能@野外公園「IKEBUKURO薪能」ではこのサービスをお持ちのスマートフォン・タブレットでどの座席からも利用することができます。会場は「としま能の会」がスタートした東池袋中央公園で行われます。